ガラスプレート『なんでもない特別な日』
Glass Plate
鑛納さんがガラスという素材に出会ったのは高校時代。以来「重なりでできる色と形」を求め、研究と制作を続けている。本作のインスピレーションの源泉は、子どもの頃に祖母が縫ってくれたワンピースだそう。ポップな柄をレイヤーに分解し、緻密なガラス工芸の技術で再構築した。大小の皿をパズルのように重ねると、家族の時間軸を思わせる複雑なイメージが浮かび上がる。加えて収納のしやすさ、盛り付けの楽しさといった使い勝手の良さも。
鑛納さんが関心を寄せるのは生活工芸だ。日用品だからと用の美に限定されず、高い技術に裏付けられていても観賞用に偏らない。軽やかなデザインと精緻な工芸技術が化学反応を起こし、“なんでもない特別な日”の想像がふくらむ。