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ハツリの技と伝統の継承

山中漆器をもっと身近な存在に。日常とともにある器。

有限会社 石川漆宝堂
石川 稔

表裏に無数のハツリを施したフリーカップ。 ハツリとはノミや鉋の削り跡を生かす技術だが、深い器の内側にまでハツリを入れることができる職人は、名だたる木地師が活躍する山中漆器でもたった2人しかいない。 「その卓越した技を、現代の暮らしに合う美しいカタチに仕上げたい」 と、長年温めていた構想を実現させた。 表裏のハツリはまさに熟練職人の技の軌跡。 味わい深い表情と手になじむやさしい凹凸、 溜塗仕上げのしっとりとした深い色合いが秀逸だ。

自社工房で塗師としての仕事をこなしながら、新商品のデザインを手がける。「普段使いができ、使うほどに深みを増す漆器を作ること」 が石川さんの信条。 だから常に使い手のことを思う。

水面に幾重にも輪を描くさまをモチーフとした波紋筋のカップは、山中漆器ならではの木地挽き技術を生かしつつ、使いやすさに最も心を砕いた。 シャープな直線と柔らかな波紋の巧みなコントラストは、美しさと持ちやすさを兼備。 サクラ材の木目を生かすため外側は木地溜塗で仕上げたが、飲み物の色を楽しめるように内側には白漆を用いた。 石川さんの器は、伝統の職人技を、ほっとした和みに変えてくれるのである。

弥生ハツリ目カップ

弥生ハツリ目カップ
溜内黒 ¥ 6,300 / 根来塗 ¥ 5,775 / 溜内朱 ¥ 6,300 / 曙塗 ¥ 5,775

朱波紋 & 黒波紋

カップ 桜 朱波紋 ¥ 6,300 / ロングカップ 桜 朱波紋 ¥ 8,400 /
カップ 桜 黒波紋 ¥ 6,300 / ロングカップ 桜 黒波紋 ¥ 8,400

Reasons for selecting選定のポイント

ハツリの質感が手のひらに伝わってくるし、漆の透けた感じも効果的に表れている。しっくりと手になじみ、多用途に使えそうな器だ。

Profile

石川 稔

石川 稔Minoru Ishikawa

1961
石川県加賀市生まれ
1984
近畿大学理工学部 卒業
1994
(有)石川漆宝堂就業、
祖父 石川省三に師事
1995
'95日本クラフト展に初入選
1996
'96日本クラフト展に入選
1997
'97日本クラフト展に3年連続で入選
(社)日本クラフトデザイン協会入会 ギャラリーキャトルテラスにて初個展(グループ展)
1998
松屋銀座クラフトステージにてミニ個展(2002も行なう)
2000
銀座お米ギャラリーにて親子3代展
2002
クラフト工房展(名古屋国際デザインセンター)
2006
(有)石川漆宝堂 代表取締役就任
山中木製漆器協同組合 理事就任
2011
加賀市成人式記念品コンペ最優秀賞受賞

有限会社 石川漆宝堂

〒922-0106
石川県加賀市山中温泉上原町ワ529番地1
電話 0761-78-0408
FAX 0761-78-4088
E-mail ishikawa@sand.ocn.ne.jp
URL www.sippohdo.jp