椀、箸
Bowl, Chopsticks
塗り立てで仕上げた艶やかな椀を持つと、しっとりと滑らかで柔らかい。「漆器とはこうだった」と思い出すような、懐かしくも新鮮な感覚。
東京出身の島川さんは、岩手県の安比塗の工房で経験を積んだ後、金沢に拠点を移し、「ぬり千」として活動している。
提案するのは普段使いのうるしだ。端反椀は、黒で下塗り・中塗りをして、落ち着いた朱色で仕上げた「朱」と、ベンガラの上に少し黒を差した溜漆を重ねた「溜」の2種類。上塗りは国産漆を使っている。
透明感が際立ち、発色が美しい。箸は摩耗しやすい先を保護するため乾漆粉を撒き、さらに漆で固めている。滑りどめの機能ではなく、口に入れたときの滑らかさを優先させた。箸のひねりの部分は自分で削っている。
金沢の工芸文化に刺激を受けているという島川さん。
どこにもない、「ぬり千」らしさを磨いているところだ。