|
||||||||||||
|
| ||
天然木を一本一本手で削り、天然漆で仕上げる「わじま木箸」。削りから塗りまでの一貫生産は、分業体制を敷く輪島塗では特異な存在だ。もっとも初めは塗り専門、木地づくりから手がけ出したのには訳がある。体の自由が利かなくなった両親でも使える箸を作ろうと、二代目雅樹さんが従来品にない形や重さを検討し始めたからだ。「既存品は機械で削るから規格外品が作れない。自分で削るしかなかった」握力がなくても使えるように重さ太さを加減し、八角や四角に面取りし、つまむものに合わせて喰先の形状も考えた。 | 選んだ素材は黒檀。木目の詰まった上質堅木材は手にしっくりとなじみ、心にゆとりももたらす。現在はいずれ三代目となる息子、俊治さんが削りを、父が刷毛塗りを担当する。拭き漆を7回以上も施して仕上げた「わじま木箸」は丈夫で安全、使い手への優しさに満ちている。「服や靴のように箸も自分に合ったものを」と多様なオーダーに対応し、一貫生産ゆえの強みから修理もどんどん引き受ける。いいものを少しでも長く、そして箸を食卓の脇役から主役へ、と父子は意欲的だ。 |
| |||||||||
|