珠洲焼 水盤
Suzu Pottery Water Basin
「できるだけこだわりを持たないようにしているんです。」能登弁でことばを選び選び話してくれた木澤さん。その真意は、いまの自分の気持ちに正直に土に向き合いたい、ということ。
木澤さんが向き合う“土”は、奥能登珠洲の、鉄分を多く含む土だ。無釉・焼き締め、侘び寂びが感じられるくすんだ黒色が特徴の「珠洲焼」は、室町時代に日本各地に流通し、戦国時代に忽然と姿を消した。窯跡に残されたカケラから古のかたちを解明し、再び窯に火が入ったのは今から約40年前のこと。
土くささ、力強さが持ち味の珠洲焼にあって、木澤さんは薄手でソリッドな質感のうつわを作り続けてきた。今回はその真逆をいく超厚手の水盤だが、洗練された雰囲気はそのまま。水に濡れた珠洲焼は打ち水をした石畳のごとく艶やかになり、花映りも美しい。