染付のうつわ
『クロスステッチ』
Blue and White Porcelain
からだは鹿、顔は猫。その動物がやってくると時間が止まり、幸せなことが起こる。増井さんの工房はその名の通り、中国の伝説の動物“鹿猫”が現れても何の不思議もないような金沢市郊外の里山にある。
ガラス工芸を経て陶芸の世界に飛び込み、金沢に腰を据えて25年になる。曖昧で、表情豊かで、ぽってりと温かい。そんな土のよさを活かしたうつわを作り続けてきた増井さんが、初めて磁器土に向かい合って創作したシリーズがこちら。以前から好んで描いていた“てんてん”をアレンジしたクロスステッチ風の染付が、白くシャープな素地を引き締める。土・染付顔料は地元のものにこだわって。日常使いができて、盛り付ける料理は和も洋も問わない。そんなおおらかな雰囲気。増井さんの懐の深さがうかがえる。