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手の中にすっぽり収まる小さな形の中に、虫めがねで見たくなるほど細密な絵が描かれている。色を重ねても線が透けて見える九谷焼の絵の具が、その細やかさを際立たせる。一見、色数を制限しているかのようだが、実はいくつものグラデーションが使い分けられ、作品に奥行きを与えている。 小さな動植物を立体の中で表現したい、と始めた「翠聲(すいしょう)」シリーズ。唐草の間で小鳥が見え隠れしていて、噂話をしたり歌を歌ったり。猫がいると小鳥は裏に隠れてこっそりと様子を伺う。「間近で見て初めて何が描かれているかわかるもの、見る人にサプライズを与えるものが作りたくて」。だから筆致はどこまでもリアル。小鳥のささやきが聞こえてきそうなくらいだ。 |
自然の風景の一コマを丁寧に切り取り、その中に独自のストーリーを描き込んでいく。作り手の遊び心に気がついた使い手は、思わずくすりと微笑んでしまうが、それこそが狙い。手にしたときに、心地よさや美しさだけでなく、楽しさや愛おしさを感じさせてくれる器。使い手との間にやさしいコミュニケーションを育んでくれる器。それが竹内さんの世界である。
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