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銀などを素材に、彫金で装身具を制作する松川さん。日々の暮らしの中で発見したものや心動かされたことの中からモチーフをすくい上げている。たとえば「かいわれ」。ある日ふと、かいわれの茎に目が留まった。ゆるやかなカーブに魅力を感じた。愛らしい葉の形や根の表情も面白く思えた。「かぶ」もまたしかり。じっくり眺めていたら球の形が思いのほかキュートなことに気がついた。葉っぱは風になびく様子を留めていて、そこはかとなく愛しい。そうやって折々に胸に残ったかけらを拾い出し、一つ一つに金属で形を与え、かくして野菜はポップなブローチに生まれ変わった。
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松川さんは北海道に生まれ育った。伝統の技を学ぼうと金沢に来たが、天候の違いに驚いたという。来る日も来る日も雨か、どんよりとした曇り空。この雲や雨の装身具は、そんな日々から生まれたものだ。胸元で雲の表情を楽しむネックレス。耳元で雲からこぼれた雨粒が揺れるイヤリング。金沢の空で見つけたものを、打ち出した銀の柔らかな質感で表現する。「そばにあるだけで少し心が和むもの、ちょっとワクワクできるものを金属で表現したい」。先人の技に心を寄せながら、自身の道を追いかけている。
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