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見たことのない、コバルトブルー。そのマットな肌には、基礎釉の結晶が斑紋となってふつふつと湧くように広がる。「誰もやっていないことを」と模索し、たどり着いた色。いまだ斑紋の出方は経験と勘が頼りであり、窯から取り出すまでは、どんな景色に仕上がるかはわからない。ゆえに、窯を開けるときの高揚感はやきものの醍醐味の一つ、と中村さんは相好を崩す。 器の意匠にも、彼の静かな主張がある。台皿の形に「最もしっくり納まる」ように計った無釉焼締め部分とコバルトブルーとのコントラスト。器のごく一部に施された金彩や銀彩のアクセント。台皿側面の切り込みや片口の注ぎ口からこぼれる遊び心。どこまで細工をするのか、どこで細工を抑えるのか、と突き詰めていく。 |
「この強烈な色合いや形状は、食器としては使いにくいかもしれない」としつつも、個性のはっきりとした器を食卓に取り入れることで、普段とは違う新鮮な雰囲気を出せればいい、と中村さんは考えている。 次は青白磁を手がけたいというが、再び、「中村功の青白釉と造形」の模索が始まるのだろう。その穏やかな口調の陰に、飽くなき作家魂が脈打っている。 |
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