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中世に忽然と現れて姿を消した幻の古窯、珠洲焼。30年前に復興の火が灯り、意欲的な創作活動が行われている。宮脇さんも、その担い手の一人。珠洲焼に魅入られ、能登町の夫の実家の一隅を借りて薪窯を設けた。窯の名は、実家の屋号「しこたろ」から名付けたという。 釉薬をかけず、強い還元焔焼成にて焼き締める珠洲焼では、土と火の役割がひときわ重要になる。それゆえ宮脇さんの創作は、まず土づくりから始まる。土の採取場所を選び、泥まみれになって掘り、粘土にして寝かせ、そして成形。窯にくべる薪も自分で割る。最後の工程は、仲間の手を借りて夜昼となく続く窯焚き。「できあがりはいつも予想とはかけ離れたものになる。窯の中を火がどう動き、灰がどう舞うのか、どきどきしながら焚いています」 |
作るのは、鉢や碗、杯、花生けといった「用」のものが中心。そこには、毎日使うことで珠洲焼の良さに気づいて欲しいという願いが込められている。「一見使いにくそうだけど、毎日ふれていると艶が出て手ざわりもなめらかになる。使えば使うほど育つのが珠洲焼なんです」。土という自然の恵みのやさしさ、あたたかさを伝えるために、日々奮闘している。
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