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「私がつくる品物は一般的な九谷焼と比べると、派手ではないので存在感がないかもしれません」と大らかに笑う。けれど山本さんの“器”へのこだわりはひと一倍だ。 九谷焼技術研修所で学んでいた頃は、前衛的な作品ばかり制作していたという。しかし、陶芸家の正木春蔵さんに師事するようになって、“日常生活の中の器”という価値観に目覚めた。「器がそれ自体の存在を主張しすぎてはいけない。料理を盛ってはじめて一体となり、かつ引き立てさせなければならない」。師の言葉に共感し、心して制作して |
いる。 山本さんの作品に共通するのは“引き算”の美学。色絵が立ち過ぎぬよう、器に占める割合も色数も最小限にとどめる。かたちも使い勝手が第一、奇をてらわずシンプルに。山本さんの気持ちが通じるのか、ひいきにしてくれる器屋のオーナーは料理通の女性ばかり。「料理好きなら、こういう器を選ぶわね」とのアドバイスを吸収しながら、引き算の器を作り続けている。 |
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