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母国イギリスで見た蒔絵硯箱に魅せられ、1984年に来日。輪島塗の各工程はもちろん、茶道や書道、墨絵にも取り組み、日本の技と美意識を頭と体に叩き込んだ。「3ヵ月でマスターして帰るつもりが、23年経っても漆の限界を探して勉強中。まだまだ初心者です」と笑う。 ヨーロッパと日本。ふたつの文化への敬意を込めながら、各々の伝統を組み合わせた表現に挑んでいる。下地にパリのレースをあしらい、その素材感を作品の表情として打ち出したり、イギリスの銀工芸の質感を蒔絵の技法を使って |
表現したり。輪島塗の伝統技に裏打ちされた作品でありながら、そこには洗練された西洋の風が漂う。 牛小屋を自らの手で改造した工房は、山際の川沿いにたたずむ。外気のわずかな湿度の変化さえも影響する環境のもと、ひとつひとつの作品にふさわしい刷毛を選び、漆を調合する。「漆も生きもの、木も生きもの、私も生きもの。生きものの力を合わせて作品が生まれてくる」。作品は美しくたおやかに、その生命力を宿している。 |
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