花 器『空木(うつろぎ)』
Hemp Cord Flower Holder
染織作家の安井さんは、尾張一宮で製糸されたウールの紐を使って紐襟巻を制作する「襟巻工場」の“工場長"だ。年代物の木製の織機がどんと置かれ、古道具に囲まれた小さな工場で、染め・織り・結びをひとりで手がけている。襟巻のおしゃれは寒い季節のお楽しみ。じゃあそれ以外の季節は―? 安井さんの新しい提案は、麻紐でできた花器だ。
ザクロ(こげ茶)、ウメノキゴケ(ベージュ)で麻紐を染めた後、叶結びで立体的な形状を作り、透明塗料で固める。「うつろ」になった部分に、花を挿すためのガラス玉を適宜入れる仕組み。軽くて柔らかいので使い方は自由自在。天井から吊り下げてもいいし、蔦のように壁面を這わせても面白い。
草木染の麻の素朴な質感に、水を入れたガラス玉の涼感や透明感を加え、道端で摘んできた草花の彩を添える。花の表現が広がり、他にない景色が生まれそうだ。