フルーツをモチーフにした器たちは、思わず手にとってみたくなるような可愛らしさ。実はこれらの器がやきものの常識を覆す技法で作られていることは、陶芸家はさておき一見しただけでは分からない。
土の色や質感に魅せられた日高さんは、種類が違う土の組み合わせに着目。板状に延ばした土を型でくり抜き、色の違う土をはめ込むという方法を思いついた。土ごとに収縮率が違うため、この方法では焼成時に割れてしまうのが常識だが、いくつかが割れることなく成功した。どんなことも、彼女の言葉通り「やってみないと分からない」。以来、この方法は彼女の定番となった。 |
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今回紹介する黒と白のパスタ皿は、裏面の色を反転させてあるのが特徴。はめ込み方式で作った厚さ3mmの土2枚を貼り合わせるというやり方は、これまた陶芸の常識を超えており、難易度の高い面倒な作業だ。しかし「使っていて楽しいでしょ」と屈託なく笑う日高さんには全く気負うところがない。
顔料を混ぜたカラフルな土を組み合わせたキュートなマグカップや皿もまたしかり。ふだんは自分の作品を食卓で使っているため、使い手のニーズは心得ている。収納する際に重ねやすく、なるべく丈夫で軽くといった使い勝手の良さは基本。奔放な発想が生み出すプラスαの「遊び」は、家族やゲストが囲むテーブルの空気をほっとほころばせてくれる。 |