ふくふくとした松中さんご姉妹。姉の祥子さんが糸を染め、妹の明子さんが織っています。お父さんが撚糸工場を経営されていて、「どうも糸を作っているだけでこれからの厳しい時代を生きていけない。生活提案のある手作りのものが必要だ。さてどうしよう」と唸っていたところに、
京都の川島テキスタイルスクールで勉強していた妹の明子さんが帰ってきて織りを始めました。横で見ていたお姉さん。「おもしろそう」とすっかり感化され、社会福祉関係の仕事をしていたのをやめて勉強し直し、糸を染め始めました。
とても広い工房で、創作活動にとても良い環境になっています。おかげでこの工房で行われている手織教室も「明るくて、とてもキレイ」と生徒さんたちからも好評です。
今回紹介する「のれん」は、石川県デザインセンターと石川県クラフトデザイン協会の勉強会で、夏をテーマに作りました。 |
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和紙の手触りを持つ独特の風合いが魅力ですが、麻糸の芯に和紙の繊維を巻き付けた「加賀奉糸紬」という糸で、糸自体にとてもおもしろい表情のある糸です。この糸はお父さんが「工房を営むなら、この工房だけのオリジナルの糸を皆さんに提供しなければ」と考えて作り出したものです。
姉の祥子さんが、柿渋やマリーゴールド、茜などの草木で染めて、妹の明子さんが織っています。織は息遣いや力加減がそのまま反映されてしまうので、その日の気持がとても大切なことだそうです。
ランチョンマットや照明器具など製作して、展覧会に出品してみたり、加賀の駅前大型店に小さな販売スペースを持ち、交代で店番の日々も。作るだけでなく、お客様の声も大切にしています。
まだまだ若いお二人ですが、自然と本物の良さにこだわり、染めと織りの技術をますます勉強し、何より自分たちが「いいね」って手を取り合えるもの作りができることが喜びの毎日です。 |