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塗師屋に生まれた悦子さんは、そこかしこに漆を使った器や家具、柱や戸などにあたりまえのように囲まれて育った。
しかも自宅は和風建築。伝統的な輪島塗と違和感なく暮らしていた。
だがある日、一般家庭ではほとんど輪島塗が使われていないことに気がついた。
「こんなに丈夫で使いやすい漆器なのに、なぜ?」そんな疑問がわいた。
輪島塗は高価ということもあったが、それよりもカタチや質感などが、フローリングの現代生活に合っていない要素もあるのでは?と気付き、使う側からの提案を始めた。 「使い回しがきいて、料理をもっとおいしく引き立てる漆の器を作りたい。 つい食器棚に手がのびて、食卓への登場回数が多くなる器を」というコンセプトで生み出されたのが今回出品の黒のなよなよ椀(蒔地下地)だ。 |
食器棚に重ねて収まるこの椀は、どんな家庭料理とも相性がよさそうで、手にとったなじみ具合もいい。
「丼やめん類はもちろん、小さな椀は小鉢や子ども用としても使えます。1セットあるだけでとても重宝しますよ」。
素朴感のある蒔地の持ち味が高級感を払拭し、気をはらずに使えそうだ。 「こちらの箸もおすすめなんです。職人が1本1本手で削って形を整えた小判型の地の粉箸。箸の先には抗菌のための銀が加工されています。 すべらないから使いやすいですよ」と、漆の魅力を語りだすと止まらない悦子さん。 「私も実際に使ってみて、おすすめできるものだけを選んでいます」。 きっぱりいい切る表情が清々しい。 |
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