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金沢美大で油絵を専攻した小田原さんは、卒業後デザイン事務所に勤めたものの、めまぐるしく動く業界に不安を覚え、不器用な自分には不向きだと判断。
2年で蒔絵業を営む実家に戻ると榎木盛先生に弟子入りし、日展作家として30年近く活躍してきました。1998年に日展・新工芸展を退会したのを機に、個展やグループ展を中心に制作活動を続けています。 芸術面ではとことん探究心旺盛な小田原さんは、上塗りを終えた輪島塗の完成品に伝統の絵柄をそのまま加飾するだけでなく、独自のジャンルを拓いています。 「楽しみながら自分の思いを表現したいから」と、モチーフは油絵をそのまま漆に置き換えたような裸婦や自然の花々などです。 |
「顔料はチューブから押し出すだけの簡単なものもありますが、それでは微妙な色合いがでません」。 1色作るのに3時間は要するという顔料を1色1色丁寧にこねて作る小田原さん。芸術に対する姿勢は並み大抵ではありません。 できあがった作品は、少しずつ色合いを変えたぼかしの技法が見事に浮かび上がっています。最近では既製の型ではあきたらず、形から木地師に注文。しかも難題物ばかりで木地師泣かせとか。それでも納得のいく作品を作りたいという小田原さんの熱意が木地師に伝わり、夢が一つずつ形になって完成していきます。 「好きなことしてるだけ」という小田原さんは、少女のように微笑んでいました。 |
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