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「妻曰く。食卓は夫婦の大事な会話の場だそうで。それから、自分で作ったものを吟味する大事な場だそうで」と物静かに黒田さんが語ります。「数年前に、この月の皿を作りました。自然な質感と滲むような満月の雰囲気が気に入ってバリエーションを増やしていますが、今じゃ私の定番よ」と、満面の笑顔の増井さん。そんな二人の制作の場が「鹿猫工房」。金沢市内を流れる犀川上流の、昔は雑貨屋さんだったという民家です。鹿猫というのは、中国の古い物語に登場する体が鹿、顔が猫という架空の動物で、鹿猫が現れると時間が止まり、縁起の良いことがあるそうです。ここに紹介する黒田さんの座布団とランチョンマットはご自身で染め、縫われたもので、自然な風合いのと現代的な感覚を合わせ持った仕上がりです。 | もともとは友禅がご専門ですから「着物の仕事は、長いものなら半年から1年もかかります。でも1反2反でもいいから自分の気持ちにフィットするものをじっくりと作りたい」と文様師(もんようし)の風貌。増井さんは、やわらかいポタポタとした土の手触りに魅入られてガラスからやきものに。「やきものはゆっくりと土と対話しながら作れるから好き」と、今では陶冶師(とうやし)として迷いがありません。このお二人には、いたわり合いとか、励まし合いで語ることのできない、何かほっとさせる、素敵な、不思議なパートナーシップを感じます。 |
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