夏に楽しみたい器
冷たい飲み物を、木の器でもっと気軽に。
有限会社 大尾嘉漆器
大尾嘉 孝
漆器はガラスや陶器より保冷性に優れているにもかかわらず、重厚なイメージからか夏は敬遠されがちだ。漆器の製造卸会社で自社製品の開発を手がけ、木の器の魅力を知り尽くす大尾嘉さんは「夏にこそ漆器を使ってほしい」と考えた。
「菊彫白漆」シリーズは国産ケヤキを用い、高級感がある漆器の表情をそのままに、内側に白漆を用いて清涼感をプラスした。手間のかかる菊彫りも、独自の加工技術を駆使してコストダウンに成功。ワイン杯、焼酎杯など用途別に揃え、それぞれの飲み物の色や香り、口あたりにも心を配ったこだわりのデザインが特徴である。
軽やかで美しいフォルムの「Colorful」は、もはや漆器の枠を超えている。ブルーやピンクなど10色展開で、まるでガラスのように艶やかな光沢を放つ。木目の表情が豊かな栃の木を使い、山中漆器が得意とする薄挽きで仕上げているので驚くほど軽い。
「塗料の配合や仕上げなどにずいぶん試行錯誤しました。ポップな商品ですが、自然の風合いも大切にしたかったので」と大尾嘉さん。山中漆器には伝統と現代技術が共存する強みがある。「漆器になじみがない人たちにもどんどん使ってほしい」との言葉通り、世代も国境も軽々と超えていきそうな器である。