九谷赤絵の世界
洗練のフォルムに精緻な赤絵。
瑞々しくて伝統的な美が限りなく。
株式会社 加賀陶苑 芳岳工房
山本 浩二・秀平
鉢は、古伊万里に着想を得た亀甲繋ぎ透かし彫り。 酒盃は夏の花、ほたるぶくろを意匠とする極めて薄い作り。 どちらも成形の妙にあふれている。 これらのエレガントなフォルムにふさわしく、目を見張るほど微細な赤絵細描。 九谷赤絵の名工として知られる山本芳岳さんの後継者二人、兄の浩二さんが素地を、弟の秀平さんが加飾を担当している。
浩二さんは、素地のデザインを主に花の形や古九谷など古陶に探求する。 量産された画一的な素地ではなく、自らがろくろを挽くことによる一点づくりならではの、自由かつ高度な成形である。
かたや秀平さんの赤絵細描は、更紗文や網文など古典的な文様を駆使。酒盃は宝飾品を、鉢は万華鏡の模様を図案化した。古典を基本としつつ、若い感性がみなぎる。 絵の具は芳岳さんと同じものを使いながらも、筆の使い方などによって同じ赤に発色しない。 秀平さん独自の柔和な赤が表現されている。
「デザインに頭を抱え」、 「思うがままにかたちづくり、絵柄を描くことが楽しい」 と口をそろえるふたり。 弱冠二十代にして、ものづくりの遺伝子を感じさせる卓抜した技術。 今後が大いに期待される。