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「私はトンボ玉オタクなの」と柔らかな笑顔でいう菅沼さんとトンボ玉の出会いは12年前、ご主人の赴任先であった富山県。すぐにのめり込み、次の赴任先の東京で良き仲間と出会ったこともあり、3年目には作家として作品の発表を開始した。今でも、バーナーの前に座ると、つい時間を忘れてしまうという。とはいえ、家庭の主婦でもある菅沼さんの工房は、キッチンの奥にこぢんまりとある。生活を大切にしながら作家活動を続けるためでもあり、日々感じる感動をすぐに作品に活かすためでもある。
菅沼さんのトンボ玉は、立体的な花のモチーフを中心に、植物を彷彿とさせる繊細さと華やかさのあるものが多い。生まれ育った金沢を意識して作ることも少なくないとか。 |
「素材やモチーフとしてだけではなく、石川県に住む人々の美意識の高さや豊かな自然、温かな人情、そういうもの全てを作品に込められればと思っています」。
意外だったのが、金沢におけるトンボ玉の認識の低さ。紀元前3000年以上前から作られ、交易品としても美術品としても長く愛されてきたトンボ玉。伝統工芸の盛んな土地柄のせいかしら、と少し残念そうな表情をしながらも、少しでも多くの人にトンボ玉の魅力に触れてもらいたいと意気があがる。手のひらにすっぽりと収まってしまう小さなものだが、その中に込められた菅沼さんの思いは宇宙のごとく大きい。 |
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