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「以前、のぼり窯で焼かせてもらったときの焼き上がりがどうしても気に入らなかった」と北村さんはいう。しかしその作品をそのまま諦められず、思い切って真っ黒に塗りつぶした後、改めて彩色してみたら、今まで見たことがない色に仕上がった。北村さんオリジナルの黒彩シリーズが産声をあげたのは、この瞬間である。 以来、十数年、真っ白な磁器の九谷に真っ黒な下地を焼き付け、その上に色を重ねてゆく技法の、試行錯誤の連続だ。今では独特の発色、質感を持つ一連の作品群が九谷焼の世界に新しい境地を拓きつつある。 |
350年の伝統を誇る九谷焼のノウハウを独自にアレンジして、他に類をみない表面の凹凸や色合いを表現しているが、「九谷の土で焼いた器に、九谷焼には無かった原料を、九谷焼本来の技法で施してゆく焼き物なので、やはり根本的には九谷焼だ」そうだ。下地から完成まで数度の重ね焼きといい、海外から直輸入で取り寄せる原料といい、手間にも素材にも贅を尽くした感のある作品には、確かに「九谷」の威厳が漂っている。 自身のホームページで「九谷焼の上絵技術は日本一です!」と豪語する。その色絵の面白さ、奥深さ、可能性をもっと沢山の人に知ってもらいたいと語る通り、各地での個展や展覧会への出品に忙しい毎日だ。この黒彩が九谷のスタンダードになる日も遠くないかもしれない。 |
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