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自分が使いたい器が作りたい器、といい切るB型青年。透けるほどの薄挽きで仕上げた4種の皿からは、繊細ではかなげな印象を受ける。 和紙張りの表面に漆を塗り、ぼんやりと浮かぶ「おぼろ月」と、冴え冴えとした「涼月」を配した。 底を支える高台は不釣合いなほどに小さい。「伝統工芸界ではどっしりとしたものが好まれる。 それを今回あえてはずしてみたんです。でも見かけとは違い、重心を工夫し、しっかりとした安定感を持たせてあります」。 テーブルの上を滑らないようにと、高台には小さな切れ込みも入れてある。粋なデザインと細やかな演出は、遊び心ある茶席や酒席にもふさわしい。 |
龍人さんには、家業であった漆器職人をそのまま継がずに、一時京都で板前修業をした経験がある。
木地挽きとして作品を制作するようになってからも、料理を盛り付けたらどう見えるか、その美しさおいしさをひきたてる器か、が常に気になる。
「すっきりとしたもの、ピリッとしたものが好き」という作風にも、どこかしら京の洗練が漂う。 昨年、研修所を卒業した彼。職人の修業過程を「守・破・離」という言葉で表すと、「破」の段階にあると自らを語る。 「無心で基本を学んだ時代を終えて、今は自分流が楽しい時。とにかく伝統にとらわれずにいろんなことに挑戦したいんです」。 |
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