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「木ってね、魚と同じ香りがするんですよ。ちょっと嗅いでみて」。家具職人南出さんの言葉を奇想天外だと驚いてはいけない。
これは木への愛情の表れなのである。木は植物性プランクトンを生み、魚のエサとなる。だから魚と木は同じ香りなのだという。
彼の情熱は木の性質そのものにとどまらず、木を原点とする食物連鎖の世界にまで発展している。 木をこよなく愛する彼が、ナラやクルミ、サクラなどで作るティースプーンやフォークはしっくりと手に馴染み、生き物のような温かみさえ感じられる。 時計や本立てもまたしかり。ぽっこりと丸い頭がついたもくピンは、いくつも並べればオブジェとしても使えそうだ。 |
「色、香り、手触り、木目の模様、みんな違うでしょう。
木の面白さはそこにあるんです」と熱っぽく語る。また、無垢の木の持ち味を生かすため、仕上げ用の米ぬかウッドオイルも開発した。
もちろん無添加だ。薄く塗って磨けば独特の風合いが生まれる。小物もすべてオイルで仕上げてある。 無垢の木の良さは、手にとって初めて分かるもの。 南出さんが小物作りを始めたのも、多くの人にもっと手軽に木の魅力に触れてほしいとの願いがあったからである。 時間とともに深みを増す木の魅力を引き出すのは、心のこもった手仕事と作品に対する愛情だ。 初めて手にとる木工品が彼の作品であったなら、その人はラッキーに違いない。 |
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