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なんとも興味をそそられるフォルムである。
今にも動き出しそうに上へと伸びるフラワーベースのことだが、「セクシーだねっていう人もいるんですよ」と藤田さんはおかしそうに笑う。
グレー地にのせた複雑な幾何学文様と、洗練されたマットな白珠色のコントラストが印象的だ。 真珠のような白珠色は、本焼きの前に念入りに表面を磨くことで肌のような質感が生まれる。 一方で、空間を線や点で埋めた幾何学文様は、よく見ると上絵具の重なりによる濃淡とわずかな赤色がアクセントになっている。 いずれも手間のかかる作業だが、それぞれの境目をマスキングしながら丁寧に仕上げてゆく。 彼女が一枚の写真を見せてくれた。 |
このフラワーベースに花を一輪だけ生けたものだが、随分と印象が変わる。
それだけでオブジェとしての存在感があるのに、花をちっとも邪魔していない。
むしろお互いの美を引き出しているといっていい。
これだけ完成度が高い仕事をしていながら「部屋の一画に置いて、日常のちょっとしたアクセントになればと思って」とコメントは控えめだ。
用途は使い手が決めるというのが、彼女のスタンスである。 昨年「フランス&いしかわ工芸マルシェ」(石川県デザインセンター主催)に出品した際、大胆な作風がフランス側から注目を浴びた。 今年はパリを訪問する。活躍の場を広げた彼女の豊かな感性は、次にどんなイメージを見せてくれるのだろうか。 |
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