輪島塗
三段重・角皿『NEGORO』
Wajima Urushi Lacquer Ware; Food Box, Square Plate
黒漆の上に朱漆を塗り重ねた漆器を総称して「根来塗」という。その始まりは、鎌倉時代に僧徒が寺内で使うためにつくった漆器にあるとされる。長年の使用で上塗りの朱がはげ、下地の黒漆が斑紋のように浮き上がったものは、用に耐えたあるがままの姿が美しいと愛好家が多い。
中島忠平漆器店が提案するのは、輪島塗ならではの優美さと堅牢さを備えた新しい『NEGORO』。木地は石川県木であるアテ(ヒノキアスナロ)。布着せ本堅地技法と呼ばれる伝統的な技法で下地作業を行った後、異なる色の漆を重ね塗りし、部分的に下の漆を研ぎ出して文様を浮き出させた。奥行きのある色と艶に、趣のある抽象文様が映える。根来塗に倣ったムダのない単純明快なかたちには、モダンな造形感覚も感じられる。