ガラス酒器
Glass Sake Set
ガラス作家の艸田さんは、ピン・ブロウという吹きガラスの技法で透明な器を作っている。一般的な吹きガラスは、ストロー状の鉄竿を用いて巻き取ったガラスに息を吹き込んで膨らませる。一方のピン・ブロウは、穴の通っていない鉄竿にガラスを巻き取り、ガラスが柔らかいうちに針で突いて開けた穴に空気を吹きこむ。艸田さんの場合は、濡らした新聞紙で穴をふさぎ水蒸気の力で膨らませている。色や気泡などで模様をつけることも、道具でかたちを整えることもしない。ただ重力と竿を回す遠心力だけで制作するので、作るというより形が現れると言った方がいいかもしれない。
ピン・ブロウならではの柔らかさと透明感。作為のない有機的でシンプルなかたち。水のゆらぎをそのまま映したような佇まいのうつわだ。