漆アクセサリー『漆石』
Urushi Lacquer Accessory
アーティストとして創作活動も行っている市川さんの興味は、“人はいかに自然を感じるか”ということにある。市川さんは、漆に向き合うことでその答えを求めている。
『漆石』は、一般的な漆のアクセサリーとはまったく異なるプロセスで生まれる。ボディの素材は漆に木の粉などを混ぜて作る刻苧(こくそ)漆だ。乾燥させて石板のように堅くなった刻苧漆を砕き、その破片をイメージするかたちに整え、漆を塗り、蒔絵や螺鈿、卵殻で丁寧に加飾する。「砂や土が層を成して山となり、やがて砕けて、岩や河原の石に姿を変える。」そんな壮大な自然現象をなぞる作業だ。きらきらと輝く精密な螺鈿の線は、ゆっくりと岩に同化していく貝を思わせる。大きな視点とディテールを行ったり来たりし、特別なアクセサリーが生まれていく。