九谷焼 盛器
Kutani Porcelain Serving Dish
淡い雲のように見える天の川が、無数の星の集まりでできているように、うつわをゆるやかに横切る帯は、幾千の微細な点と線からできている。すべて手描きとはにわかには信じがたい、驚くほどの緻密さ。清楚な白に加賀赤絵の特徴である細く濃い赤がきりりと映えて。
石川で生まれた九谷焼が、赤絵細描と呼ばれる上絵で世界を席巻したのは江戸末期から明治にかけてのこと。当時の絵付け師たちは、どれだけ細かく描けるか腕を競い合ったという。
加賀赤絵の系譜を引く山本秀平さんは、赤絵の名工・山本芳岳さんを父に持ち、兄の浩二さんが作った素地に描く。更紗文や網文などの古典の小紋柄を、モダンですっきりとしたデザインに構成していく26歳の瑞々しい感性。素地の端正な仕上がりがあってこその、兄弟のコラボ作品でもある。