九谷焼 一輪挿し
Kutani Porcelain Vase
すっと伸びた首が印象的な一輪挿しは、鋳造の鶴首花瓶のシャープな輪郭を再現したもの。 この色を出すために研究を重ねたという緑がかった “あお” が、ほっそりした優美なシルエットを引き立てる。九谷焼といえば鮮やかな上絵のイメージがあるけれど、その美しいかたち=素地を作る技術にも注目したい。 九谷の伝統的な成形技術が、ろくろで作った素地を型に押し当てて変形させる「型打ち」だ。 回転体の丸いうつわという枠を超え、自由な造形が可能。 もちろん、素地を型にぴたりと合わせる確かなろくろの技術は欠かせないのだけれども。
山本浩二さんは、絵付け師の父が代表を務める陶房でろくろ・型打ちによる素地のデザインを担当しつつ、自身の作品作りも行う。 古きを訪ねて新しきを知る27歳。“気鋭” ということばがよく似合う。