漆で表現する宇宙
未来生活に求められる輪島塗を、
ブルーの漆で。
World Wide Wajima project
岡垣 祐吾 + 田谷 昭宏
別名「W.W.W.プロジェクト」。輪島塗を手がける5社のコラボレーションは、石川県工業試験場が開発したパール漆がきっかけであった。雲母材を用いて真珠のようにきらめく青漆の下に、意欲ある若手塗師屋が連携したのである。
「このプロジェクトは、未来生活に求められるもの、それも輪島ならではの本物志向のものを目指しています。これまでブルーの漆を使うことがほとんどなかったのですが、使ってみると反響も大きく、手応えを感じました」と語るのは、プロジェクトリーダーである岡垣漆器店の岡垣さんだ。輝くブルーが活かせるモチーフとして地球を選び、まず平成25年、各社が地球儀を競作。新たな世界観が話題となった。
今回は、その第二弾。モチーフの地球が暮らしのアイテムに表現されている。田谷漆器店の田谷さんが手がけたグラスは、「月から見た地球」がテーマ。グラスの底に夜空や青い地球を描き出し、くつろぎタイムをより優雅なものに導いている。岡垣さんのお椀は、口縁に乗せた可愛い地球がアクセント。遊び心あふれるデザインに輪島塗の新たな可能性が感じ取れる。
「これを機に、今まで漆に縁遠かった若い世代や男性にも興味を持ってもらえればと考えています」。輪島塗の明日を追うプロジェクトに期待が寄せられている。