装SHOCKなガラスウェア
工業用素材で描き出す、
ニューレトロなガラスの世界。
ガラス工房 STUDIO plusG
市川 篤
古くより醤油の産地として知られる金沢市大野町。この街の一隅に、ガラス工房「スタジオ・プラスG」はある。築百年の醤油蔵を再利用した空間で、器から芸術、建築まで、幅広いジャンルのガラスづくりに取り組む日々だ。
「最近は特に工業用の板ガラスを使ったものづくりを追求しています」と語るのは、スタジオ主宰者の市川さん。厳正な規格で高品質、しかも手に入りやすいという工業用素材の特性に着目。現代の産物である板ガラスと、20世紀初頭のアールデコ表現を融合し、シンプルさと装飾性を併せ持つクラフトウェア「CRADECO(クラデコ)」シリーズを世に送り出している。
今回の提案は、当シリーズのスイーツ皿である。モチーフは、どこかでよく見かける花々。青板ガラスを円形に切り、裏側に細長いパーツを丸く並べて花弁を表した。また、表面をすりガラス風に加工することで光の乱反射を促し、裏側のパーツの輪郭を優しく浮かび上がらせている。花に似せた波状のカットしかり、底部にあしらった気泡しかり、皿の表情にはニューレトロな華やぎや気品が加えられ、新しい装飾表現の世界を紡ぎ出した。
「ガラスは透過性があるので内側にも外側にも独自の世界が展開できます。素材の力をもっと追究したい」。前を向く市川さんである。