土と木による
新・日本スタイル
土という素材と左官技術が生み出した、
異彩のインテリア。
株式会社イスルギ
石動 博一
土壁や漆喰壁などの左官壁は、実に豊かなテクスチャを有する。土、石灰、石など材料の種類は豊富で、掻き落しや磨きといった仕上げ手法も多彩だ。イスルギは、そうした伝統的技法を継承する左官集団である。
中でも、彼らが日頃親しんでいる「土」という素材は、調湿、調温、防火、リサイクル性など機能性に富み、左官の技によって変幻自在な表情を呈してくれる。イスルギの新ブランド「monolith(モノリス)」は、そうした「土」の素材感や可能性を追求。左官の技術と表現力にデザイナーのセンスを融合し、家具の新しい形を提案するものである。
左官花生「ひびわれ」は、土素材と白木を組合せて完結した空間を成し、ひびわれが独特のテクスチャを醸し出す。一方、左官花生「泥だんご」は、最小限の木枠を遊び心のあるフォルムに仕立てたもの。木枠は窓となって借景を捉える。幼少期の土の記憶に繋がる泥だんごが不思議なアクセントとなっている。本来は固定している左官壁を可動式にするという逆転の発想で、現代の空間に「伝統」と「自然」をしなやかに取り込んでいる。
素材はすべて石川産という「monolith」は、テーブルやシェルフなどのアイテムも展開する。左官集団が石川から発信する新しい日本スタイルに、今後も注目したい。