ボタンダウンピアス
ボタンダウンシャツの衿元に、
蒔絵のアクセサリーを。
うるしアートはりや
針谷 崇之
シャツの衿先をさりげなく装うボタンダウンピアス。「クールビズの期間、ネクタイの代わ
りになるアイテムを」と針谷さんが考案した新商品だ。白蝶貝や黒蝶貝の素地に加賀蒔絵を施してあり、そのモチーフは幾何学模様や昆虫など62種類。ボタン穴にピンを通す仕組みなので生地を傷めることがなく、裏から留めるキャッチは丸みを帯びたデザインで肌あたりも優しい。
柔らかなきらめきを放つ貝と、深みをたたえた金蒔絵の輝き。あるいは鮮やかな原色の漆。伝統をまとった存在感は主役級ではあるが、サイズが直径1センチに満たないからか、衿先に乗せても主張しすぎることがない。ノーネクタイのシャツに控えめな遊び心と個性を演出しつつ、本物が持つ品格を漂わせてくれる。
針谷さんは、蒔絵師であり伝統工芸士でもある両親の下で育ち、「日本伝統工芸展」をはじめ数々の受賞歴を誇る正統派の実力者である。蒔絵のメンズアクセサリーブランド「Mt.Artigiano(モンテアルティジャーノ)」を立ち上げ、年間30回ほども全国の百貨店の展示会などに出向いている。
「使い手の声を直接聞ける展示会はアイディアの宝庫」、「蒔絵をもっと身近なものにしたい」と語り、確かな技術と若い感性で、新たな蒔絵の世界を切り拓いている。