16
加賀毛針
かわいい裁縫道具
針仕事が楽しくなる、ちょっと乙女なソーイングツール。
株式会社 目細八郎兵衛商店
目細 勇治
長さ 6.5cm 高さ 2cm の、手のひらにすっぽり収まる裁縫箱。 キャンディ型の針山や極小の糸巻き、指ほどの握りばさみとともに縫い針５種が２本ずつ入っている。 箱は昔懐かしいセルロイド製。 こんなにキュートな裁縫箱があれば針仕事が苦手な人も思わず針を持ちたくなりそうだが、 「実はそれが狙い」 と目細さん。
目細八郎兵衛商店の創業は天正３（1575）年。 伝統工芸でもある鮎釣り用の毛針 「加賀毛針」 の店として名高いが、創業時は縫い針を製造販売する店であった。 絹針の針穴を細長くする独自の技術を加賀藩主に認められ、 「めぼそ針」 と命名されたことが名の由来という歴史ある針屋である。
長年の技術が駆使された縫い針 「めぼそ針」 は針先が鋭利で折れにくく、針仕事のプロから大歓迎されているが、近年、そのプロたちが減ってきている。 「本物の針の良さを一般の人にも知ってもらえたら」。 小さな箱には目細さんのそんな思いが詰まっている。
加賀てまりや雪吊りなどの金沢名物をモチーフにしたかわいい糸巻きも、仲間に加わった。 針を持つ時間をもっと楽しいものに。 そして、針を持つ人をもっと増やせたら。伝統の再編集に挑む目細さんである。
