色遊びのうつわ
折り紙を楽しむように、
皿の上で5つの色と戯れてみた。
suetukuri
岩﨑 晴彦
砂丘の町、内灘にある岩﨑さんの工房には、日々の暮らしに寄り添う器が並ぶ。 料理の邪魔をせぬように、そして使いやすくとの思いから生み出されるのは、てらいのないプレーンなたたずまい。 砂丘の砂を陶土に混ぜ込んだ作品もあり、どれも手に取れば土のぬくもりや息づかいが静かに伝わってくる。 皿、碗、カップなど魅力的なアイテムがそろう中で、とりわけ人気なのが、白、黄、グレー、茶、黒の5色で彩られた5本組の箸置きだ。 金沢の伝統の婚礼菓子 「五色生菓子」 にヒントを得た食卓の小物が使い手の心を捉えている。
今回の 「色サラ」 は、その箸置きの彩りを皿の上に表現したものだ。 子どもと折り紙で遊びながら色を組み合わせているうちに、これを器で、と思い立った。5色のうちの3色を使って、折り紙を一枚一枚そっと重ねるように釉薬を掛け分けた。 バランスを考えて大きめの皿には金彩も施し、金沢らしさを淡くにじませている。
ふだんは趣きのある単彩の作品が多い岩﨑さんだが、今回の 「色サラ」 では若い世代を意識して色と戯れ、可愛らしさや華やぎも見え隠れする器となった。 活躍とともに顧客の年齢層が広がる中での、岩﨑さんの新提案である。