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安政5(1858)年創業の輪島塗の老舗、塩安漆器工房の5代目である塩安さん。「時代が変わっても輪島塗の技術、とくに輪島ならではの下地塗りの技を守りたい。ただ、生活そのものは様変わりしているので今の暮らしに合った商品にしていかなければ」と語る。そんな思いが凝縮されて今回の器となった。
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「かがみこ塗」の「かがみこ」とは輪島塗の下地に使う地の粉のことで、輪島塗といえるのもこれを施してあればこそ、というほど大切な材料である。これを今回は下地だけではなく中塗りにも使用した。めざしたのは、金属のスプーンにも耐えられる器と、熱いドリンクをおいしく飲むカップ。そのために普段使いの丈夫さを追求し、強度を高める効果のある地の粉を表面近くで使うことを思いついたのだ。原料が土である地の粉は、塗布すると焼物のような硬さと丈夫さをもたらす。しかも、ざらざらした質感が親しみやすいカジュアルな表情も招き、狙い通りの商品となった。 「これで焼酎のお湯割りを飲むと、よりおいしく感じますよ」と笑顔の塩安さん。自由な発想のものづくりが楽しめる漆工芸品。塩安さんのチャレンジはこれからも続く。 |
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