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植物の実だろうか。それとも何かの伝統紋様か。山岸さんのアクセサリーは新しさの中にどこか懐かしさも潜ませた形をしている。「特定のモチーフはありません。昔、原っぱで摘んだ花を家に持ち帰ったような感じかもしれませんね。ふと目に留まった美の瞬間を作品に閉じ込める感覚で創作しています」
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朱、黒、黄など多彩な漆がピンバッジや帯留めをやわらかに包む。“microbe”のイメージは、顕微鏡で覗いた生物や植物などの極小の世界から導き出した。表面の精緻な加飾には蒔絵、螺鈿といった伝統技法が駆使されている。くし、かんざしなど古い装身具の技や意匠に触発されつつも、それを吸収して高感度のデザインに昇華させているのがいかにも山岸さんらしい。自在な表現を求めて金具なども手作りしているという。わずか数センチの小さな装身具だが、そこには彼女独特の宇宙が広がっている。 「漆の持つ装飾性は、ジュエリーにおける宝石や貴金属にも匹敵するほどの魅力を備えていると考えています」。多様な素材を取り込んで表現できる漆のジュエリーには、限りない可能性が秘められているようだ。 |
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