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漆と桐。ともに日本の生活道具に欠かせない素材であるが、近年、暮らしの場から姿を消しつつある。「まず、普段使ってもらいたい。そうすればきっと手仕事の魅力や素材の良さに気づいてもらえるはず」と、新しい漆の形を模索する定池さん。その思いを、塗りと白木のコントラストが美しい“hanahako”に込めた。 本来、漆器は内も外も塗りあげてしまうものだが、“hanahako”では桐の防虫・防湿性や柔らかな質感を生かすために、内部は無塗装白木仕上げ、桐だけの空間とした。一方外側は麻布で布着せし、本固地仕上げ。本業である蒔絵の腕をふるって洗練された加飾を施した。漆のふたを開けると艶やかな空気は一変し、無垢の桐のやさしさ、清々しさがあふれ出す。使う喜びを一段と深めてくれる宝箱だ。 |
指輪もそうだが、器類にも軽くて強い乾漆技法が用いられている。一つ一つ麻布を漆で貼り重ねて作るから、ぐい呑みはそれぞれに少しずつ表情が違う。仕上げの溜塗りも、時とともに透け感を増し、明るく豊かな表情に変わっていく。そうした味わいこそが手仕事の妙、と語る定池さん。「使う楽しみ、質感…。漆には化学塗料にない良さがたくさんある。それをもっと多くの人に」と励む日々を過ごしている。
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