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古いものが好きで集めたアンティークの手巻き腕時計。文字盤、風防、竜頭、針…、分解して得られるのは、おびただしい数のパーツだ。「見えないところに美しい形がいっぱい潜んでいるんです」。動かなくなった時計の中で人知れず古びてしまった部品さえ、今城さんにとっては宝物なのだという。 時を経たものの表情に価値を見出し、いったんは役目を済ませたパーツをアクセサリーとして再生させている。それが「トキノカケラ」シリーズだ。文字盤の上に樹脂を流したペンダント、風防の上にさまざまな部品を配して樹脂で固めたもの、石の代わりに竜頭を乗せたリング。思わず目を見張り、手に取るとつい笑顔になってしまうものばかりである。 |
魅力的な小箱は、小さな干菓子を入れる茶道具「振出し」などがモチーフ。鍛金で形を作り、金属部に漆を焼き付け、象嵌で加飾した。はめ込んだ中古レンズは凹凸さまざま。中身を大きくも小さくも見せてくれる楽しい作品だ。「作りたいのは、身近でさわれるもの、実際に使えるもの。そうやって愛しいかけらたちにもう一度生命を与えたい」。今日も時のかけらの物語に耳をすます今城さんである。
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