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陽にかざすと透けるくらいに薄く、冷酒を注ぐとその色味がわかるほど白い、柔らかく光を通す器。その材料となる土は、ランプシェードなどに使われる磁土だ。ガラス質を多く含み、土自体の際立つ白さに特徴がある。土の特性を引き出すために釉薬は一切使わずに高温で焼き上げ、ざらつく表面には工程の途中で何度も磨きをかけてつるつるに仕上げる。
全体を引き締めるのは口の縁取りやドット
など、最小限のものだけ。ろくろを回すたびに手のひらに伝わる土の柔らかさと温かみを、
一見冷たい印象の器に盛り込みたいと言う。
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森岡さんにとっては、相反する二つの性質が共存する土に最大の魅力があるようだ。
窯元で生地職人を経験した後、美大の聴講生を経てアトリエの助手に。「なぜ作るのかを考えよ」「いいものを作る時は素材と向き合え」と言われた言葉の延長線上にこの作品が
ある。手がけるのは日常食器であり、柔らかく滑らかで、吸いつくように手になじむ器。人と人を結びつけ、そこにあるだけで場の雰囲気を醸し出すものを。そんな強い思いが込められている。 |
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