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出来上がりを頭に描きながら一枚の銅板を切り抜き、縁の始末をした後はただひたすらにたたく。当て金という鉄の道具に金属板を乗せ、金槌や木槌で一振り一振り打ち絞りながら平面を立体へと導く。それが「手絞り」といわれる鍛金の技法だ。 たたくたびに銅板はさまざまな表情を見せ、姿を変え、立ち上がって立体を成していく。木瀬さんはその過程に惹かれ、そこに創作の糸口を見つけ出すのだそうだ。「長い間使ってもらえるものをつくりたくて、割れることのない金属を選んだ」木瀬さん。彼の今回 |
作は、人の口にふれる器だ。そこで、仕上げに漆を塗って焼くという加工を施した。漆を焼き付けることで変色が抑制され、手入れがしやすくなる。緑青も出にくくなるし、木や土といった自然に近い質感が醸し出されるからだ。 金属でありながら、金属にはない肌合いとたたずまい。丹念な手仕事は、日本の住空間にしっくりとなじむ銅器を生み出した。木瀬さんの創作の場は、若手金工作家を支援するべく用意された山間の工房にある。今日もそこに、無心に槌を振るう木瀬さんがいる。 |
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