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江戸時代から昭和初期にかけて、商家や農家では家族一人一人が箱膳を有していた。中に食器一式を収め、食事時には上蓋を食台にして食器を並べた。収納もコンパクトで合理的。浅田さんは、この古式を元に現代の箱膳をつくりあげた。 素材は木目が美しいタモ。ガラス質塗料を施した「ナチュラル」は自然の木目が清々しく、「黒ふき漆」は存在感があり、畳にもフローリングにも調和する。組箱は3種、膳は丸と角、組箱の蓋もあり、組合せは自由自在。使い手の座高に合わせて、 |
組箱の数で高さを調整できる。使い方はさらに自由だ。一人膳として使う、重箱のように器として使う、小物入れにする…。小皿料理を詰めて客に供せば、もてなしの興も増すに違いない。この箱膳は単なる「もの」ではなく、暮らしへの提案だ。 浅田さんは、ものの溢れる時代において、提案力のある漆器を、と考えている。轆轤(ろくろ)挽きによる丸物を主とする山中漆器にあって、箱膳はひとつのチャレンジともいえる。 |
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