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始まりは明治12年。創業130周年を迎えた歴史ある窯元である。成形から絵付けまで窯内で一貫生産しており、九谷焼の伝統を守って昔ながらの手仕事を続けている。扱う製品は日常の食器から茶道具までと幅広く、深い発色の染付技法は門外不出となっている。伝統の九谷焼ならではの鮮やかな上絵付けと、丈夫で美しい生地が身上だ。現在の長右衛門さんは四代目にあたり、その孫で、意欲的な活動が注目を呼ぶ惠悟さんが長右衛門窯のデザインや企画などを担当している。
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今回出品の「把手付酒器」は、日本酒離れが進む若年層を意識して提案された。「とっくりやさかずきの需要は確かに減ってはいるが、とっくりからトクトクとお酒が注がれるシーンには、誰もが心を動かされる趣があるはず」と惠悟さん。既存のデザインに把手をつけるという最小限の足し算で、「お酒を飲みたいから」でなく「器を使いたいから」お酒を飲もうという気持ち、九谷焼を使う喜びを喚起することを狙ったそうだ。どこかにありそうで、なかった器。伝統にほんの少し加えられた遊び心には九谷焼の夢も潜んでいるようだ。 |
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