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白盛、金盛の繊細な文様を指でなぞってみると、手わざの温度感が伝わってくるよう。蓋を開けた内側にも緻密な装飾が品良くおさまっている。ジュエリーボックスと呼べばいいのか、オブジェと呼べばいいのか。手のひらに載るほどの小さな筥に、錦山窯が持てる九谷焼の伝統技法が凝縮されている。 錦山窯は九谷焼の上絵付けを専業とする窯元として約100年の歴史を持つ。代々金を用いた絵付を得意としており、初代、二代目は庄三風と呼ばれる「金襴手」に秀で、三 |
代目美統さんは「釉裏金彩」の技術で人間国宝に認定されている。現在は四代目の幸央さんが、職人とともに窯の伝統を継承しつつ現代に生かす陶芸を模索している。 昔ながらの意匠を再解釈したことで、今の暮らしへの提案ができる品になったと胸を張る幸央さん。美しき小筥は、失われつつある九谷独特の技法を伝承していくためのコンセプトモデルであるとともに、九谷のふるさとという地域文化のシンボルでもある。 |
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