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製品としては壷、かめ、鉢などが主流の珠洲焼は、釉薬を塗らないで、還元炎焼成という焼き方で焼き締める。黒くざらついた手触りが特徴。その質感から生産者たちは「食器には向いていない」と思い込んでいたらしい。自家用に使うことはあっても、商品になることはない、と。それがある時、観光客から「珠洲焼きはご飯がこびりつかない」という感想を聞いた。お茶漬けのコマーシャルで黒い器を見たこともヒントに、食器の商品化に挑戦したという。 | 一方、飾り気がないのも珠洲焼の特徴だ。そこにあえて装飾してみようという試みも行った。まずは釉薬。かけ方を変えながら各種試してみた。そして他の技術とのコラボレーション。漆の輪島塗、象嵌、かき落とし、文様。ただし、どんな試みをしても、あくまで軸足は伝統的な黒い焼き締め。珠洲焼らしさを残すことに苦労したそうだ。表現が変わっても、プライドは決して変わらないのが潔い。 |
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