浄土真宗王国といわれる石川は仏壇製造も盛んで、美川、金沢、七尾の三大産地がある。しかし、近年の住宅事情などから受注数が減少しはじめたのはどこも同じだ。そこで、「時代に合った新しい仏壇が必要なのではないか。マンションなどに、インテリアとして置ける小さくてお洒落な仏壇があったら」という思いが高まった。
美川仏壇の特徴は、完璧なまでの職人の手業から生まれる堅牢さや優美さにある。手仕事にこだわるとどうしてもコストは高くなる。小さくても手数は同じなのだ。だが、山本さんはあえて本物にこだわり、試行錯誤を繰り返しながら、細部にまで手を抜かない小さな立方体の厨子を完成させた。
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『宝蔵』と名付けられた厨子は、過度の装飾を施さないシンプルで洗練された美しいフォルム。それは、魂を吹き込まれた生き物のように存在感を放ち、見る者を魅了している。実はこの作品は、漆造形作家や山中のろくろ師、輪島の塗師など、その道のプロフェッショナルたちとのコラボレートによって生まれたものだ。
山本さんは言う。「永代に伝わる本物を造り続けていきたい」と。「そのためには、優れた技術をもつ職人が生き残らないと」。平成15年、異業種の職人たちが集まって『匠倶楽部』を設立させた。これからどんな作品がコラボで生まれてくるのか、目が離せない。
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