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椀に描かれたかわいい鳥や魚たち。手のおもむくままに描かれた蒔絵に思わず頬が緩んでしまう。ヘタウマとかアートではない。蒔絵師として仕事を積み重ねてきたプロの職人の腕が生んだものだ。 木田さんは加賀の蒔絵師の三代目。父の跡を継いで蒔絵の道に入り、旅館や料亭などに漆器を納めている。バブル崩壊の頃、新しい仲間、新しい商品開発の考え方を求めて石川県クラフトデザイン協会に入った。そこで学んだことは、「人々の生活がどうしたらより豊かになるか」であり、「装飾をなくして機能的な形を提案」することだった。 自分のやってきたことを頭から否定されたようだったが、あまり難しいことを考えるタイプではない。 |
とりあえず、山中塗の木地を作る轆轤技術や、塗りという手仕事の良さを生かした作品づくりに取り組んではみた。
しかし、蒔絵師の手は勝手に動く。そこで、「人々の生活がどうしたらより豊かになるか」の答えの一つとして、楽しい蒔絵があってもいいじゃないか、との考えに至ったそうだ。 椀だけではない。楽しい蒔絵の箸や小さなアイスクリームスプーン。食事のシーンは和み、漆の使われる場面は広がる。大きな魚は、花器かオブジェか。「クエに鯛」と人を食ったようなタイトルに思わずニンマリしてしまう。「漆はこうじゃないといけない」という固定観念など捨てて、いろんな場面で楽しみたい漆たちである。 |
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