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ごくシンプルな形の器に描かれた三角や小さな色の粒、羽根のような葉っぱのような文様たち。万華鏡の中の小さな色のかけらが散らばったり重なったりしているかのようだ。 まず透明釉を施して焼き、釉薬のかかっていない部分に最初の色で文様を描き、焼く。別の色で文様を重ね、焼く。それを何度か繰り返し、最後に金彩か銀彩でおめかしをする。丹念の作業から多田さんがつくりだすのは“かさね絵”の器。 「僕の器を使う人に喜んでもらいたいんです」。多田さんは穏やかな笑顔で語る。陶芸を本格的に始めて6年。父はクラフト作家の鐵男さん、母は近年、干支や人形で人気の利子さん。だが、自身は興味がなく、大学に進学し、卒業後は飲食サービスの企業に就職。 |
そこで仕事を通して、人に喜んでもらうことの楽しさと厳しさを知った。そして、自分が最初から最後までかかわって、人に喜んでもらえる仕事がしたいと思い始めた。それは何だろうと考えたとき、自分の身近にその仕事があると気づいた。 「陶芸の“芸”は芸事の“芸”。生活の中に小さなエンターテイメントを提供することだと思っています。毎日、普通に使ってもらいながら、ワンランクアップの空間や時間を感じてもらえたら、うれしい」。 いろいろなものもつくり、経験を重ね、たくさんのことを吸収したい。そして、創作文様を活かした器を極めたい。そう語る多田さんの目は、キラキラ輝いていた。 |
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