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今回はテーマに合わせて彩色したものをたくさん出品したが、普段はモノトーン系の作品が多い。作品づくりにあたって「新しさはあまり意識しない」という。凝った形や色ではなく、ありそうでないものや、いままであったものにちょっとした味付けで新鮮に感じられるモノづくりを心がけている。奇をてらった作風よりも、単純な考え方と技術の積み重ねこそが大切だと考えているのだ。 「正直いって、ぼくのできることなんか他の作家さんはみんなできます。新しい技術とか表現なんて実際にはなかなかありませんよ」と控え目に笑う。その一方で、使いやすさばかりを追求したりはしない。何かに使えそうだから買うという即物的なことではない、何かその焼き物がもつ不思議な力に魅せられて求めてくれる人がいてくれたらいい、と覗かせる自信はなかなかのものだ。 |
寡黙で愚直な人なので作風の特徴を聞いても「見て感じてください」と簡単だ。ただひとつ示してくれたキーワードは「あいまいさ」。大物作家のように一品ものではなく、さりとて大量生産でもない、手づくりの焼き物であるがゆえのファジー(あいまいさ)が一つひとつの作品に命を与えているようだ。どこにでもありそうで、どこかでみかけたようだけれど、ちょっと気になる…。特別な使い道もなさそうだけれど、なんとなく身近に置いてみたい。そんな焼き物でよかったら、ここにある。これも九谷焼の答えのひとつかもしれない。 |
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